80歳でも自分の歯を20本残す
歯は食べるだけの物だと思っていたら、大きな誤解です
歯は感度のいいセンサーであり、脳と直結している重要な出発点なのです。
ところが多くの方々が、歯がそれほど重要な役割を果たしている事に気付かないのです。
歯が抜けても「もう年だから、歯も抜けてきちゃうよね」とおっしゃるのです。
老化と共に歯が抜けるというのは、大きな誤解なのです。
歯が抜けてしまったら食事ができなくなってしまいます。
第一大臼歯(6歳臼歯)という大きな歯を1本失ってしまっただけで、通常の40%の咀嚼力を失ってしまうのです。
20歳を超えた成人でこの歯(第一大臼歯)が上下左右4本とも健全な人は1%いません。
ほとんどの人達が治療済みか、既に失ってしまっています。
一本の歯が抜けても気にしない人も多いのです。しかし一本抜けると他の歯も弱ってきて最終的にはすべての歯が抜けることがほとんどです。歯は一本一本が別々の機能を有し全部で一つの仕事をしているのです。一つの歯車が脱落するとそれを補うように他が働き、過剰労働となり他の歯も傷んでしまうのです。
現在55歳以上の日本人のうち、約400万人が総入れ歯と言われています。
これらの人達には食事の時にわざわざ入れ歯を外して食べている事が多いのも現実なのです。入れ歯が合わないから痛くて食べられないのです。
歯は無くなってからその価値が分かります。しかしそれでは遅いのです。
そのうち抜ける物と決して考えずに、自分の歯を一生使おうとすれば、自然とそれを大事にしていけるはずです。
歯の実態調査
厚生労働省は五年に一度「歯の実態調査」を実施しています。
2005年の調査で初めて、80歳で自分の歯が20本残っている人の割合が二割を超えました。二十年前の調査では平均わずか五本だったのと比べると格段の進歩といえます。
また厚生労働省は平成四年から『8020運動』を推奨しています。2010年までに80歳の2割が自分の歯を20本以上残すことを目標に掲げた計画でしたが、目標が5年も早く達成できたのです。しかし残りの8割の人々が自分の歯が20本以下で部分入れ歯か総入れ歯で不自由な人生を送っているのが現状です。
年齢別にみていくと65歳から70歳の間に平均で10本以上の歯が抜けてしまうのです。原因はほとんどが歯周病です。治療せずに放置したり、適切な治療を行なわないまま時間が経過すると、歯を支える組織や骨が吸収するために、歯がグラグラしてやがて抜け落ちてしまうのです。
歯周病の進行速度は人によって様々です。適切な治療を行なっていたか、喫煙の有無、過労やストレスの状況によって異なるのです。特に免疫機能が低下してしまう過労やストレスが与える影響は非常に大きいのです。また、糖尿病などの生活習慣病の患者は、歯周病の進行が早くなり、治りにくくなるのです。
歯周病は止める事はできても本当の意味での回復はできない。現状維持は歯周病が改善したことを意味し、いつでもまた再発の危険を持ち合わせているのです。
8020運動
8020
『はちまるにいまる』と読みます。
生涯を通じて自分の歯で食事の種類を問わずに噛めるには、最低20本の歯が必要となります。
つまり、80歳になっても自分の歯を20本以上保ちましょうということです。
現在の歯の寿命
上顎の歯 | 下顎の歯 | |
前歯 | 57.4歳 | 62.8歳 |
犬歯 | 57.1歳 | 63.0歳 |
小臼歯 | 52.9歳 | 55.0歳 |
大臼歯 | 50.3歳 | 46.9歳 |
このように現在の歯の寿命は下の奥歯で46.9歳です。一番長い寿命をもつ下の前歯でも62.8歳です。日本人の平均寿命が男性77.71歳(山口県は77.03歳)、女性84.62歳(山口県は84.61歳)という事を考えますと、非常に多くの人が歯を失い自分の歯で食事ができないのが現実です。
年齢別に残っている歯(永久歯は親知らずを除き28本です)
20歳代 | 28本 | 30歳代 | 26.本 | 40歳代 | 22本 | 50歳代 | 20本 |
60歳代 | 15本 | 70歳代 | 9本 | 80歳以上 | 6本 |
世界の中の日本
日本は、世界トップの長寿国です。しかし80歳の方の歯の数は6〜7本と言われています。 これは決して多いとは言えません。 歯の長寿国スウェーデンでは既に80歳で20本の歯を保っています。アメリカやオーストラリアも2010年までには達成が予測されています。