歯周病と食事
食べる物と食べ方で、お口を変える。
「食事の後には歯を磨きなさいと」。こう言われて育った人は少なくないはずです。だから、『食事』=『お口を汚すこと』と考えている人も多いのではないかと思います。
でもそれは間違いです。実は、唾液中に含まれる細菌の数は食事の後には激減します。これは、食べ物を咀嚼することで大量の唾液が分泌され、口の中の細菌が食べ物と一緒に井の中に流されるからです。
「食べ物の残渣という点で見ると食後の口の中では食べかすが増えますが、口内細菌の数の点で見れば口腔内はむしろきれいになる」と言えます。
だから口の中をきれいにするには、「食後の残渣が残りにくい食べ物を選ぶ」ことと、「良く噛むことが出来て、しっかり唾液を出させる食べ物を選ぶ」ことが大切です。つまり食事こそお口の環境を整える第一歩という事なのです。
これからは食事を変えて、歯周病や虫歯を防ぎましょう。
『お口を変える』には、まずは食材選びが大切です。とりわけ大事なのは「しっかり噛んで唾液を出せる」食材を選ぶ事です。というのも、口内環境を整えるために、唾液で口の中を潤わすことが不可欠なのです。
唾液は天然の抗菌リンス剤ともいえるものです。1日に1〜1.5?も分泌される唾液は口の中の汚れを洗い流したり、歯周病菌などの増殖を抑えたり、口の中を中性に保って虫歯を防ぎます。
唾液をよく出すには、よく噛むのが一番です。唾液腺は口や顔の筋肉に連動していますので、噛むと刺激され、分泌が促進されます。
よく噛むのに適しているのは、噛み応えのある食品です。セロリや油揚げ、にんじん、たくあん、漬物、さきイカ、もも肉などです。
次に食べたいのは「繊維が多い」食材です。もちなどは、噛み応えはあるものの、食後にでんぷん質などの残渣が残りやすいのです。セルロースなどの食物繊維がたっぷり含まれている食品は残渣が残りづらいのです。野菜やキノコなどは残渣が残りにくく、噛んでいる時に歯の表面をかき取る作用があります。
また、ヨーグルトや乳酸菌飲料といった乳酸菌食品を多く取っている人に歯周病が少ない事が報告されています。これは『乳酸菌が過酸化水素などを分泌して悪玉菌を殺菌し、同時に乳酸で口の中が酸性になる事で酸に弱い歯周病菌を抑えるためと考えられています。』
これからは、日々の食事にこれらの食品を積極的に取り入れてみましょう!