歯周病と心内膜炎
歯周病菌が血液中に入る
歯周病で炎症を起こした歯肉には、多くの細菌(微生物)が接しています。プラーク1ミリグラムには億を超える数の微生物がいて、唾液1ミリリットルにも10億以上の微生物がいるといわれています。
これをもとにすると、歯磨きをサボったり歯周病がある人の口の中には、何千億以上もの微生物が住み着いている、と考えられるのです。
歯肉が炎症を起こすと、歯周ポケットの内面が潰瘍の状態になるので、歯周病菌が歯肉中に入り込みます。歯肉中に侵入した細菌や細菌が産生した有害物質が血液中に流れ込みます。これらの細菌や細菌由来の物質が血管を通って全身に運ばれ、さまざまな病気を引き起こすことが最近わかってきました。
歯周病と心内膜炎と関係があるということもいわれています。私たちの心臓には弁があり、その弁膜付近に微生物が付着して増えると感染性心内膜炎になります。
心臓弁膜症など心臓の弁に障害がある人、人工弁を入れている人などでは、弁の周りの血液の流れがスムーズではなく滞っている場合があり、このような血液が停滞している部分では、血液中に入り込んだ細菌が心内膜に定着して増殖しやすく、定着増殖した細菌によって、細菌性心内膜炎が引き起こされる可能性が高くなります。
この細菌性心内膜炎で亡くなった方の心臓から、歯周病菌が検出されたことから、歯周病と細菌性心内膜炎が関係していると考えられています。